低体温症 登山対策   Windy活用

低体温症 登山 活用編

朝日岳 遭難  低体温症

2023年10月6,7日 那須町の朝日岳の登山道付近で4人の遺体が見つかった事故で、警察は死因はいずれも低体温症だったことを明らかにしました。

「当日の稜線上は風速20m/秒以上と推測される。風速15m/秒を超えたら歩くのもしんどい。前に進めないがゆえに立ち止まっている間に強風にあおられて体温が奪われて、低体温になっていって動けなくなったのではないか。きちんとした防寒着を用意していないと、早ければ10~15分くらいで(低体温の)症状が出て、30分以上経つと体が動かなくなってくる」

日光・那須山岳ガイド協会 松田良さん 談話

 

 

トムラウシ山遭難事故   低体温症 登山 遭難事故事例

登山中の低体温症で遭難事故は以前にも北海道で発生しており、もっとも大規模な夏山の遭難事故はトムラウシ山遭難事故です。

2009年7月に大雪山系のトムラウシ山で起きたツアー登山の遭難事故では、若いガイドや参加者は生還できたが、高齢者がばたばたと倒れていってしまった。

生還できた理由は「カロリーの摂取」「隔離」「保温」「加温」という4原則の対処が適切かつスムーズになされたからだった。

①カロリーを充分に摂取する
低体温症を予防するうえで重要となるのがカロリーの摂取。体内で熱をつくりだすために必要なカロリーが枯渇しないように、チョコレートやナッツ類、ドライフルーツなどの糖類と炭水化物をこまめに補給しよう。

②低温環境から隔離する

理想的なのは山小屋や避難小屋などだが、近くになければテントやツエルトを利用する。

③保温する
隔離後は、濡れたウェアを乾いたものに着替え、防寒具やアウターシェルなどを着込んで体を保温する。

④加温する
保温をしたうえで、可能であればさらに加温をする。プラティパスなどの耐熱性の容器にお湯を入れて湯たんぽ代わりにし、胸などの体幹部に当てがって加温する。

 

 

登山 山の気温

標高が100m上がる毎に気温は0.6℃下がる。

標高1000m地点では、標高0mの場所より気温が6℃低い
標高2000m地点では、標高0mの場所より気温が12℃低い
標高3000m地点では、標高0mの場所より気温が18℃低い

日本一高い富土山標高3776mの場合、約4000mとして計算すると平地より頂上では24℃も気温が低いということになり、標高0mの麓の町が最高気温30℃、最低気温24℃での場合でも

富士山山頂付近では、
無風、雨無しの場合でも最高気温6℃、最低気温0℃になります。

つまり、麓の町ではTシャツ短パンでも暑い位だとしても
富士山山頂では防寒着にしっかりと身を包んだ格好でいないと寒さに耐えられないということ
になります。

これに強風、雨が伴えば更に体感温度が低下します。

登山 風による体感温度低下

風速1mで体感温度は約1℃下がる

富土山を例に見ていきます。

富士山山頂の特徴は風が強く、「富士山山頂の年間平均風速は12m/秒、山頂での最大瞬間風速は91m/秒です」

風の強さのイメージですが風速m/s 10以上15未満やや強い風(富士山頂年間平均風速12m/s)
・風に向かって歩きにくくなる。傘がさせない
・樹木全体が揺れる。雷線が揺れ始める。
・道路の吹流しの角度が水平になり、高速運転中では横風に流される感覚を受ける。

とあります。

風の強さと吹き方

※気象庁ホームページ、風の強さと吹き方より抜粋

富士山山頂の年間平均風速12m/秒。
よってその風によって体感温度が12℃は下がることになります。

標高と気温のところで記載した8月の真夏の富士山の例でさらに当てはめてみると

標高0mの麓の町が、最高気温30℃.最低気温24℃の場合

富土山山頂付近では
最高気温6℃、最低気温0℃

ここに平均12m/秒の風体感温度の関係を加えてみると‥・

4000m付近では
最高体感温度マイナス6℃、最低体感温度マイナス12℃になる

標高と気温、そしてさらに風と体感温度の関係を頭に入れておかないと
真夏でも低体温症になることがあります。

 

登山 雨による体感温度低下

平地の場合、雨の日は日差しもないので、体感温度は実際の気温よりやや低め。 マイナス5度ぐらいで考えるのが良さそうですが山の場合、風、雨により体感温度が更に低下します。

汗や雨などで濡れている体・衣類は体温を奪い続けます。
そこに風を浴びればさらに体温を奪われるということになります。

登山などでは季節を問わずどうしても汗をかいてしまいます。
そこに風を浴びよっものなら「風と体感温度」で記載した風による体感温度の低下に加え
濡れによって体感温度はさらに下がるという感じになります。

「濡れ」は登山では大敵となるため
雨に濡れないようにまた汗をかきすぎないように衣類を脱いだり看たりして体温を調整する必要があります。

体が雨に濡れてしまうと、体熱がどんどん奪われていき体温が低下し体温が低下(およそ32度以下)して、体が正常に機能しなくなって死ぬこと凍死をいいますが、凍死は冬山だけで起こるものではなく、夏山でも気象条件や雨具を持ってないなど、衣服の選択を誤ると凍死などという場合もありますので、服装には注意が必要です。

Windyでの山頂の体感温度の確認

Windyを用いて自分が登る予定の山頂の気温及び風速を確認して体感温度を事前に確認することができます。

初めに登山予定の山を検索し、天気ピッカーを表示させ、次にレイヤーを気温に選択すると地表の気温が表示されます。

例として下記が山形県 熊野岳(標高:1814m)を選択した場合です。

麓の気温は13℃です。熊野岳 体感温度

次に標高を熊野岳の標高に近い2000mに設定します。

山頂の気温は9℃です。

windy 標高 設定

次に山頂での風速を確認します。

風速は7m/sなので体感温度は気温より7℃低い 2℃となります。

windy 登山 山頂 風速

カナダの環境省が算出した体感温度指数 早見表も参考になります。

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